eラーニングアワード 2018 フォーラム 報告 No.2

eラーニングアワード 2018 フォーラムのプログラムより、東洋大学のアクティブラーニングについての発表「データを全てお見せします」、千葉工業大学の「経験学習・自己調整学習からマイクロラーニングへ ~経験を内省・概念化し「自ら学ぶ力」を養う研修設計とマイクロラーニングの可能性~」、2講演を受講。どちらも、実際のデータや授業内容に基づいた、「次」を聞きたくなる講演であった。

特集
respon

◇東洋大学のアクティブラーニング 「データを全てお見せします」◇

LMSとリアルタイムアンケートシステムの連携

東洋大学は、学部・学科によって異なるキャンパス数5、学生数、教職員数も多く、授業の進行や学生の状況などを洗い出し、そのデータからというプロセスが繰り返し行われている。LMSとしてmanaba、授業におけるリアルタイムアンケートシステムとしてresponを採用、両者の連携によって、様々な授業データを蓄積し授業を補完している。使用状況とその具体的なデータ、そしてそれが何を意味するかについての発表であった。システムによって可能になるバーチャルコミュニティの住民として利用者をとらえ育てていくことにより、全学としての利用を促進している。

二つのシステムによって、教材や資料のペーパーレス化はもちろん、授業前・中・後と配布時間も必要に応じて決めることができるため、反転授業も可能になる。前提として、学生が自分のモバイル端末を利用するための学内電波状況チェックやWIFIの整備も事前に行った上での導入である。

利用状況を徹底的にデータ化

同大学がresponを導入した理由は、まず使いやすいこと、学生は最初の授業で導入すれば、次の授業からは簡単に利用できるという。実際に、ログイン率は90%を上回り、上昇を続けているという。学生は「用事のないアプリにアクセスしない」、すなわち授業で教員が利用しないかぎりアプリを入れても意味がない。2018年度春学期、科目数2284について、毎時間の記録をとり、さらに授業内で何回利用したか、学生の反応はどうかなど、細かいデータが蓄積されている。複数の基準でその統計を出す、グラフ化するなどで、利用状況が明らかになり、今後何をすべきかを具体的に考えることができる。

利用状況を質・量ともにアップする

このようなシステムやアプリを導入、利用度の目標値をたとえば70%と決めて、利用状況を見ることはよく行われる。だが、70%を達成しても、その内容を見なければ使用する科目や教員の偏りなど課題を見つけていかなければ、利用は広がらない。「responを最も鍛えている」という東洋大学の実践は、eラーニングやデジタル教材、インタラクティブな授業などの普及に、大学としてどのように取り組むべきかを、示していると考える。また、多人数の授業ではresponを使えば便利だということを、どのような方法で利用にハードルがある教員に伝えていくか、利用を課すのではなく、「寄り添って」説明会を開く、実例を伝えるなどの方法を採用している点も、その一つであろう。

 



 

microlearning

◇千葉工業大学 「経験学習・自己調整学習からマイクロラーニングへ」◇

ビデオ教材を用いた授業構成
自律的学習についてのコルブの経験学習モデルから構成された、2つの授業実践が紹介された。ビデオ教材を用いた授業で、教材の内容、設問、学生の反応など、授業準備から実践まで、教材も含めた資料と共に発表がなされた。受講学生の意見を一覧で表示する、また学生の「経験」を加味してその意見を分析するなど、授業の様子が語られ、実際の授業に採り入れることのできる内容が紹介された。
同時に、そのような授業構成・教材になったかという核となる部分について、コルブの経験学習モデルに基づいての説明もあり、カリキュラム作成においても参考となるだろう。

ビデオ事例で学生の経験を引き出す
現在、アルバイトを通して「働く」経験を多少とも持っている学生が多い。この授業では、そうした学生の経験を引き出し、その経験を学術的な知識と結びつけ、論理的に発展さえていくために、ビデオを教材化している。実際、その経験内容は多様で、マニュアルのある職場で長く働き、新しいアルバイトの教育を任される、アルバイトであっても自分の判断で決められる幅がある、OJTで社員に近い研修があるなど、学生と話してみると驚くほどだ。

授業では、ビデオ、意見交換、ビデオと、同じ内容を2度見せ、学生たちの気づきがより広がり、自分の経験を重ねることで、ビデオを通して理解させたい理論に近づいていく様子が、発表スライドから伝わってくる。ビデオは、このように適切に教材化されれば、理論を考えるための「実際の文脈」となり、学生は「リアルな状況に対して感情移入」して考えることが可能だ。

マイクロラーニングへの適用
では、それを企業におけるマイクロラーニングにどのように展開していくか。マイクロラーニングは、短い時間にモバイル端末で行われる。ビデオではなく実際の経験を持つ社会人にとって、それぞれの経験を引き出し、再検討し、互いの経験に気付くことで、知識を積み重ねていくのではなく、受講対象者の実務経験を引き出し、現在の実務にそれを応用できるかどうか、また変更すべきことは何かなど、考えながら学習していく研修に、マイクロラーニングが適用できる。

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