eラーニングアワード 2018 フォーラム 報告 No.1

eラーニングアワード 2018 フォーラム(主催:一般社団法人e-Learning Initiative Japan / フジサンケイビジネスアイ)において、12月15日(木)に行われた「【eポートフォリオトラック】eポートフォリオで高大接続改革はどう変わるか?どう変えるか?」を聴講。教育の現場に立つ4人の登壇者による講演とシンポジウムでは、児童・生徒・学生すなわち教えられる側の視点で考えることの重要性を再認識した。

特集
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eポートフォリオの前に考えるべきこと

初等中等教育~高等教育それぞれの段階での、eポートフォリオ導入目的は何か、役割は何かといった、基本的な論点が提示された。受験で提出がある、自律的な学習の導入に使える、就職にも役立つなど、外的な条件からeポートフォリオを考えるのではなく、児童・生徒・学生個人個人にとってどのような意味を持ち、各自の成長につながるのかが、えられるべきことだ。

eポートフォリオ導入によって、学習プロセス評価が可能であり、自律的な学習状況も把握できるということに対して、「主体性は評価できるのか」という問題点が指摘された。主体性が評価対象であれば、学習者が納得できるその「評価基準」を示すことが必要だ。実際、グループワークの評価で、発表者が得をする、パワポが使えて資料作るとほめられる、リーダーをするとポイントアップするなど、具体的でわかりやすいが、本当にグループワーク全体を見た時に数値化して有意差があるのかどうか、疑問である。

「結果の出せない生徒」も、そもそも「結果を出す」とは何か、教える側と教えられる側の共通理解はあるのか、その過程はどのような尺度で測ることが可能なのかといった議論抜きには、成立しない。


新しい評価基準の可能性

新しい評価基準を、既存の学校制度内部にとどまらず、不登校や中退を経験した学習者を、別の角度から評価できる可能性につなげていきたいという考え方も示された。実際に、アメリカの大学では、学費の問題からアルバイトと学業を両立せざるをえない学生に対して、仕事の中で得た知識や能力を単位化して認定してもよいのではないかという議論が始まっている。

学校外の体験というと、その機会や幅に地域差があるという懸念もあるが、地域を含めて教育の場を再構成していくという可能性も考えられるだろうことも示唆されていた。児童・生徒・学生、友人、教職員、保護者、地域などが教育に関わり、支えあっていくことが求められている。

既存の教育機関外における個人としての行動や学習が評価の基準となるのであれば、個人が学習成果物やプロセスを蓄積し、自分自身で評価し構成し、ショーケース(作品集)として表現し提示するショーケース・ポートフォリオ」の必要性はより高まる。この機能が、学校で導入するeポートフォリオとしての機能に入れるのか、学校からは切り離して、卒業後に利用できるアプリや新しいシステムとして提供するのか、利用者の側に立った時、開発の考え方はひとつではないだろう。


教育の多様性は多くの人の手を必要とする

今回の【eポートフォリオトラック】では、導入について考える前に、まず教育関係者と教育テクノロジーベンダーとの双方が、eポートフォリオを通して「教育とは何か」に対する議論を深めるべきであることが、課題として浮かび上がったと言えるだろう。また、教育の多様性が進む中、新しい教育テクノロジーの可能性が何を目指すかは、この2者だけにとどまる問題ではないことも、シンポジウム全体を通して感じられた。

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