2021年までのeラーニング市場予想

アメリカのDecobo社が、昨年末に発表した50ページからなる“Elearning marke trends and forecast 2017-2021”は、この1年、ニュースの中で、そのeラーニング市場の分析や予想が引用されてきた。2018年からのeラーニング市場について考えるベースとして、同レポートの内容を抜粋、4回に分けて紹介。(2018.2.26更新)

特集

No.4 MOOCSとマイクロラーニング

decobo

登録者が増加して市場が成長するMOOCSでは、Coursera、edX、Udacity、FutureLearn などが強力な企業である。短大や大学入学前の準備教育単位として、高校生が主なターゲットである。

これらの企業は、Udacityのナノ学位のように独自の資格証明書や修了証明書を提供するコースを始めている。また、新たな動きとしては、すなわち開始・修了の時期を学習者が決められる自分自身のペースで学習するコース提供が多くなってきている。無料だった修了証明書は有料化されている。企業と大学とのコブランディドMOOCSの拡大が見込まれ、このようなコースは無料提供ではなく、有料となっていく。

マイクロラーニングはビットサイズラーニングとも呼ばれ、それぞれの学習内容は3~5分かそれよりも短いかで、明確な目的を持って制作されている。もちろん正式な研修内容としても利用されるが、主に略式の研修に利用されることが多い。フォーマットは様々であるが、簡潔な内容でデスクトップからスマートフォンまでどのような端末でもアクセスしやすいため、ジャストインタイムの学習に最適である。

企業は、マイクロラーニングを、従業員が業務中の都合のよい時間に取り組んで、業務に必要な知識を習得する研修として利用する。実際に業務を行う上で必要な知識を、必要な時に学習するという研修方式が、マイクロラーニングによって可能になっている。

他社との競争において、企業にとって最も重要なことは人材管理であるが、それは単に能力ある人材を獲得し雇用を維持することではない。業績目標達成において企業を支えていく能力を、従業員に構築し強化していくことだと、レポートを発表したDecobo社は、企業における教育の重要性を述べている。

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No.3 モバイル端末対応とパーソナライゼーション

モバイルラーニング市場は、2015年から2020年にかけて4倍以上の伸びを見せると予想されている。国としては、アメリカと中国がこの市場を牽引している。

モバイル端末利用者数は、徐々にではあるがブラウザ利用者に近づいている。求職者の4割が携帯電話やスマートフォンで企業と連絡をとり、オンラインビデオの6割以上がモバイル端末で利用されているという。専門家は、次世代の企業研修システムは、現在のコースカタログではなく、BuzzFeedやYouTubeのようなソーシャルメディアサイトに近いイメージになるだろうと言っている。

ミレニアル世代では、スマホが常にそばにある87%、朝起きて最初にすることはスマホを手にすること、毎日2時間以上はスマホを利用している78%、今後5年以内には何でもすべてのことがモバイル端末でできるようになると思う60%という調査もあるという。タブレットやファブレット、ヘッドセット、ウェアラブルなどの機器がコミュニケーションに利用されている現在、企業研修においても、複数のモバイル端末に対応し最適化することも考えていく必要がある。

モバイルラーニングにおける最新の技術革新は、次世代のロケーションベース(位置情報を利用)のラーニング、リアルタイムパフォーマンス、デシジョンサポート、モバイルラーニング付加価値サービス、そしてAR(Augmented Reality:拡張現実)ラーニングである。

eラーニングにおけるパーソナライゼーションは、大きなトレンドとなりつつある。学習者は、自分自身の個人的なニーズ、学習ペース、スタイル、学習計画や予定にフィットする学習体験を求めている。

パーソナライズされた学習環境においては、学習コンテンツは個人の学習スタイルやニーズに適した形で表示される。従って、コースカタログよりも個人にカスタマイズされたモデルが必要となる。学習者全員が同じ教材を同じペースで学ぶスタイルから、学習者が何を知っているか、何を学ぶ必要があるか、何が学習において有効であるかなどに基づいた学習スタイルが提示される。

GoogleやAmazon、Spotifyは多くの人が利用すれば利用するほど、よりそれぞれの個人に適したレコメンドを示すことができる。パーソナライズされた学習を提供するためには、個人の学習ニーズに応えるために、多くの学習者のラーニングアナリティクスを収集することが必要だ。ラーニングアナリティクス、すなわちビッグデータを教育に活用することだ。


 

No.2 ゲーミフィケーションとウェアラブル

ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素を様々なゲーム以外のサービスやシステムに応用して、学習者の意欲アップや動機づけ、受講の持続につなげることである。ゲーミフィケーションをeラーニングに採用することによって、学習者は学習内容により興味を持ち、学習成果があがることが期待される。

eラーニングにおけるゲーミフィケーションは、ゲーム業界におけるテクノロジーの進展によるものである。VR(バーチャルリアリティ)やAR(拡張現実)を利用することによって、よりリアルな学習体験を与えることができる。

ゲーミフィケーションは、これからのeラーニングの主流となる技術の一つである。年平均成長率 46% 程度の予想で、2020には111億ドル市場に成長することが予想されている。地域的には、APAC が市場成長を牽引するであろう。既成のゲーミフィケーションソリューションが、eラーニングにおいては、すでに多くのベンダーによって提供されている。ポイント(学習者の得点)、バッジ(学習者が達成度によって獲得できるもの)、リーダーボード(学習者の達成度やポイントでランキングを表示)を使用して、学習に夢中になる体験を作り出すことが、重要となっている。

教育におけるウェアラブルテクノロジー市場の成長も年平均 46% 程度が予想され、この分野では大学が最も有力な市場と紹介している。このトレンドは消費者主導であり、地理的に見ると北米、APAC、ヨーロッパではイギリスとドイツが市場を牽引していく。イギリスでは、重要情報に即時アクセスできること、カスタマーサービスの改良などの理由から、すでに29%の企業が何らかのウェアラブルテクノロジープロジェクトを進めているという調査も紹介。ウェアラブル端末からのデータ収集・分析のためのITインフラ整備が必要となっている点が、導入の課題であるという。


 

No.1 市場は変化と成長を続ける

Decobo社は、LMS開発企業で、70か国に顧客を持ち、30以上の言語に対応可能であり、顧客企業の規模や所在地を問わずに、プラットフォームを提供している。同社のSaaSプラットフォームは、世界のベスト10に入っており、研修管理ソリューションとして業界のトップの一つとして認められている。

同社のレポートは、変化と成長を続けているeラーニング国際市場について、まず、eラーニングプログラム予算の増加、世界の各地域にeラーニングが広がり続けていること、eラーニングをサポートする技術やツールの開発における新しいトレンド、ソーシャルラーニングが学習・発展(L&D)において果たす大きな役割など新しい動きが見られることを、最初にあげている。

レポートでは、国際的な市場規模、市場の成長要因、地域別市場など市場全体に加えて、ソーシャルラーニング、モバイルラーニング、マイクロラーニング、企業MOOCsなど注目すべきトレンドについて、まとめている。また今後市場に影響を与えるであろうテクノロジーやeラーニングへのアプローチ、例えばゲームベースの学習やウェアラブルテクノロジーなどについても、説明している。

市場の新しいトレンドには、eラーニング市場自体から起こるトレンドと、企業の人材管理における変化がもたらすトレンドとがあること、さらに消費者の変化が直接的・間接的に影響を与えていることを指摘する。企業における学習・研修は活発化しており、まさに人材開発管理の核となっているともいう。

この特集では、同レポートの “ELEARNING TRENDS(eラーニングのトレンド)” を中心に次回以降、具体的に内容を紹介していく。

【企業サイト】 Docebo Download the whitepaper

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