2017年 教育のデジタル化を見る

最近、昨年から今年にかけて、国際的なeラーニング市場動向、市場に影響を与える教育における変化、また今後の予測などについて、調査レポートやニュースが増えている。また、教育におけるテクノロジーの導入について、未就学児段階から高等教育、企業研修まで、その影響と今後も語られている。2016年8月から2017年7月にかけて、Qure掲載記事を中心に内容を補足して、eラーニング、そして教育とテクノロジーについて、2回に分けてまとめる。

特集

No.2 教育テクノロジー

VitalSource

 
教育機関におけるデジタル化の現状

生まれたときからPCや携帯電話、インターネットなどが存在し、当然のものとして育ってきた1990年代生まれのデジタルネイティブ世代にとって、学校教育のデジタル化はどのような状況であろうか。

アメリカの大学における調査を見ると、十分とは言えないようである。2016.10.6【シリーズ】アメリカ 調査に見る大学教育のICT導入は、アメリカでの二つの調査結果を示す。調査の一つは、大学生約5人に1人が、大学の授業内で使用されるIT機器使用度やオンライン環境が不備だと考えているという。

学生自身の生活では、スマートフォン、タブレット、ノート型パソコンなどを所有する率は99%を超えており、日常生活で平均48分に一回は電子機器に触れていると答えている。さらに、もう一つは全米出版協会の発表で、複数の調査結果から、印刷教材よりもデジタル教材を授業で使うことによって、学習者の学習効果を改善することができるとしている。デジタル教材は価格が安い、オンライン入手が便利、環境にもよいとも考えられている。

教育機関のデジタル化推進は、デジタルデバイドという観点からもとらえる必要がある。学校にデジタルラーニングが可能なインフラが整備されていれば、生徒のレベルや家庭環境などによる違いに左右されずに、生徒とのコミュニケーションや指導が行えると、2017.4.24【アメリカ】学区のデジタルデバイドを解消するソリューションは、指摘する。アメリカでは、このような環境を整えるために、企業が学校のネットワークソリューションやデジタル機器の導入を援助する動きも少なくない。

今、求められているものは?

現在、教育テクノロジー(Education Technology=EdTech)としてはどのような機器に対するニーズがあるのか、最近のニュースやプレスリリースを見てみよう。

まず教育機関でも企業でも、どこでもいつでも手軽に学ぶためモバイル対応のアプリやコースが増加している。次に、リアルな授業体験をいつでも配信できるレクチャーキャプチャー機器は、2017.8.30【シリーズ】Lecture Capture(授業録画)は拡大することが予想され、より手軽に使え、安定した録画や配信が可能で、どのような場所にも対応できる製品開発が進んでいる。

コンテンツを簡単に作ることができるというサービスやアプリも、2016.3.8【日本】eラーニング用の独自コンテンツを手軽に作成など、ニュースが多くなっている。誤答率の高い問題だけ集めたい、変更があった部分だけ追加したい、すぐに使いたい内容があるなど、教材作成にコストも時間もかけられないなどに、使いやすいアプリのニーズだ。同時に、2017.3.31【日本】VRコンテンツ制作教材の無償公開のように、これまでは外部依頼が一般的だった技術を内部化するためのアプリやサービスも登場している。

個人としてのeラーニング

教育機関や企業でのeラーニングではなく、個人としてのeラーニングも選択肢が増え、内容の幅もプログラム設定も時間数も価格設定も多様化が進み、受講しやすくなっている。通信教育は、印刷物の教材が送付され、途中でやめても購入済みの教材が残ってしまう。eラーニングは、そうした不安がないばかりか、無料のお試し期間やレッスンが申込み前に用意されているなど、取り組みやすいコースやプログラムも少なくない。ちょっとだけ、少し、ゆっくり、じっくり、深く、浅く、広くなど、受講者の気持ちに応えるコースを探すことができる。

個人で取り組むeラーニングを共に学び合うという流れもある。組織内で情報や知識の共有を促進する目的での2016.1.20【アメリカ】eラーニングにソーシャル要素を、ソーシャルゲームのノウハウを活かし学習意欲を高める2016.6.16【日本】多業種に対応、ソーシャルゲームで学べる社内ラーニングサービス、学習の持続を目指す017.8.28【ピックアップ情報コーナー 2017.8.28】【日本】“みんチャレ”で英語リーディング学習をチームでなど、受講者同士がeラーニングを共有する方向性だ。何か分からないことがあれば、インターネットで調べる時代、何かを学ぶことのスタートとしての役割もeラーニングは担っている。

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No.1 eラーニング市場を見る

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市場の成長は今後も続く

アメリカの市場調査企業Beige Market Intelligence社による“Global E-learning Market – Strategic Assessment and Forecast 2017–2022”(eラーニングのグローバル市場-戦略的評価と予想2017~2022)によると、LMSを含むeラーニング市場は、過去5年間大きく成長してきており、その成長は今後も続き、予測期間6%以上の成長と見込まれる。

地域的な売上高は、インターネット基盤が確立され、政府や民間によるテクノロジーへの高い投資がある、北米市場が最大であり、その規模は2016年に170億円超である。最も人口の多い地域であるAPACは、売上高では北米に後れをとる。市場の成長という点では、新興経済国であるインドと中国が、アメリカを抑えている。巨大な人口を抱える両国は、学習プロセスの質の向上を目指して、オンライン・オフラインのプラットフォーム導入にとりかかっている。

eラーニングに必要なハード・ソフトを含め、教育テクノロジー導入の地域差については、アイルランドのResearch and Markets社による“Global Smart Education Market 2017-2021”(スマートエデュケーション市場2017-2022)も言及している。学校教育におけるハードウェアシステムの導入状況は、地域によって異なり、新興国においては導入に十分な資本を持っていない場合があることが指摘される。両レポート共に、主要ベンダーとしてアメリカのBlackboard社、イギリスのPearson社を分析している。

企業が国際化して、より有能な人材を国際的に求めている状況が、eラーニング成長の背景となっている。この国際的な人材教育を、コストパフォーマンスよく実現するために、eラーニングが必要だ。eラーニング市場は、第3世界における帯域幅最適化やハードウェアとソフトウェアの統合可変性不足といった問題はあるとしても、今後の成長が有望視されている。


 

eラーニングのシステム、LMS市場の傾向

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Beige Market Intelligence社は、コンテンツの種類については、トレーニングとテストに2分類、現在まではトレーニングが主流であるという。しかし、2016年に40億ドルの売上げとなった、オンラインでのテストサービスが、その時間と費用の手軽さから、これからも伸びていくことも予想している。配布形態は、パッケージコンテンツ、LMS、その他の3分類である。パッケージコンテンツがシェア1位を占めてきている。

企業を対象としたLMS市場について、イギリスのFrost & Sullivan社は、“Global Enterprise Learning Management Systems (LMS) Market, Forecast to 2022”(企業LMS国際市場2022年までの予測)を発表している。同社は、企業が業績をアップしていくためには、社員・従業員教育の継続が重要であるという。社員・従業員間の技術力の差を減少し、キャリアアップを促進し、企業への定着を築くためには、LMSを導入、いつ、どこでも、従業員研修ができる環境整備が必要だ。

このレポートによれば、2022年まで北米とラテンアメリカが、企業対象LMS市場全体の売上げの多くを占め、ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジア太平洋地域と続いている。ビジネスの広がり、中東地域における投資、アジア太平洋地域の経済新興国がLMS市場の成長要因となる。今後、ラテンアメリカでは、経済状況の問題があり、通貨変動によって特にブラジルで、売上が落ちると予測している。

なお、同社が2016年1月にリリースした“Global Academic Learning Management Systems Market, Forecast to 2022”(高等教育機関LMS国際市場2022年までの予測)では、学生のLMSに対するニーズにベンダーや教育機関は応える必要がある現状を指摘している。通学生ではない学生の増加、テクノロジーに精通した学生の増加によって、大学などの教育機関によるLMS利用が必要となっている。いつでもどこでもどのようなデバイスでもシームレスに使いたい、テキストから音声認識、ビデオコンテンツまで広げていきたい、LMSをカスタマイズしたいなどの要望が、学生には見られるという。


 

サブセグメントが市場を変えていく

Beige Market Intelligence社のレポートは、市場のサブセグメント化傾向についても述べている。LMS以外に、クラウドベースのラーニング、AR(仮想現実)、VR(拡張現実)、モバイルベースのラーニングアプリの成長が著しいという。

教育市場におけるVRとARについては、それぞれ市場レポートが発表されている。
Technavio社の“Global VR in Education Sector Market 2017-2021”(国際的な教育市場におけるVR 2017-2021)は、予測期間の成長率を55%以上と分析。VR分野では、北米地域がこの4年間も市場を支配していく。アメリカでは、VRソフトウェアの教育機関導入に対する意識が高まり、政府の教育政策もその実現を援助している。

ARについては、Infiniti Research Limited 社が“Global AR in Education Market”(国際的な教育市場におけるAR 2017-2021)というレポートを発表している。同社アナリストは、ARが教育に与える影響は大きく、この期間の教育市場におけるAR成長率を82.85%と予測。ハードウェアの価格が高いという点はあるものの、ARアプリ開発への関心が高まり、ARテキストブックによってブレンディドラーニングが可能になるとする。

【VR・AR関連記事】
2016.10.21【イギリス】AR技術を使って水循環をMOOCで学ぶ
2017.2.13【日本】VR教材でより効果の高いeラーニング教育を
2017.7.10【ピックアップ情報コーナー 2017.7.10】【ポーランド】VRを法学部の授業に採用
 



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