第9回教育ITソリューションEXPO取材報告

2018年5月16日(水)~18日(金)に東京ビッグサイトで開催された、学校・教育関係者対象の “第9回教育ITソリューションEXPO(EDIX)”(主催:リード エグジビション ジャパン株式会社)を取材。Qureでとりあげてきたeラーニングにおける最近のキーワードを、会場でまず探した。その後、色々なブースを回って実際に見て説明を聞き、教育現場で使ってみたい、あれば便利だと感じた6社の製品・サービスを紹介する。

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教育テクノロジーの導入が、色々な場面で広がりつつあることを確認できるEdix、今年は、働き方改革、VRやAI、動画などQureニュースでも見かけることの多いキーワードが、会場でも目についた。Qureでも紹介したAIを使った語学学習支援ツールや教育用VRコンテンツなどは、株式会社デジタル・ナレッジがブースで紹介。また、規模を問わず教育機関で大きな問題となっている情報セキュリティ、講義動画ソリューションについては、株式会社ネットラーニングブースでと、それぞれに特化した製品やサービスを見る前に、大手2社で全体の動きを見た。


会場で見つけた「これがあれば」1~6


1. “ウェブでお知らせ” (NTTレゾナント株式会社)

学校にはコミュニケーションシステムが必要
日本でもアメリカなどでも、学校・生徒・保護者で緊急に情報を共有する必要がある事態が起こりやすくなっていることもあり、教育機関対象のコミュニケーションシステムが関心を集めている。

機能に優れたシステムを使いたい
NTTレゾナント株式会社の「学校と家庭を結ぶ双方向ウェブ連絡ツール」 “ウェブでお知らせ”は、このシステム一つで様々なことが可能になるコミュニケーションシステムだ。相互連絡を行う、情報を共有する、情報を整理するなど基本機能に加え、教務担当、担任、クラブ活動指導担当、購買担当など、校内の各部署や業務から使いたい機能もある。セキュリティにも優れ、また、システムで送受信した全メッセージは管理可能だ。

基本使用は欠席連絡
時間帯が限られる上に忙しい朝の時間に縛られることなく連絡がつき、確認メールも可能な欠席連絡の便利さがまず評価されるという。広域から生徒が通学していると、大雨や強風など通学に支障が出た場合、電話連絡のため当直や早番体制をとっても対応しきれないときもある。休講や休校など学校からの緊急連絡も、確実に送付できる。

使わない機能を使いこなしたい
予定表機能は任意グループの予定に使える、多目的掲示板機能は校内の掲示を掲載できる、運動会や文化祭、講演会などの参加についてなどアンケート機能も使い始めれば便利だ。このようなシステムとしてはめずらしい、学校行事や校外授業などの写真が閲覧できるアルバム/新聞機能も、生徒や保護者のニーズは高いだろう。他校での色々な機能の利用例を聞いて、使い方を広げていきたいシステムだ。

【企業サイト】ウェブでお知らせ/ウェブでスクールプラス


2. デジタル採点システム “YouMark” (株式会社佑人社)

面倒な記述式問題の採点を改善する
長時間労働や業務の持ち帰りなどを削減して、教員の働き方を改革することを、テクノロジーでのサポートをテーマとするブースが、今年は多く見られた。その一つが、採点業務である。基本は、解答用紙をスキャンして、採点部分の切り出しを行っていく。

採点部分を切り出す
記述式採点を複数の担当者で行い、人為的ミスを減らし、早さと正確さを求めるという “デジタル採点支援システム YouMark”を、株式会社佑人社のブースで見た。ちょうど、ディスプレイには、キーワードの入れ方や漢字の使い方など、部分点や減点が問題となりそうな解答が、その部分だけ切り出されて、数人分並べられている。記述問題が多いテストを多人数分採点するとき、その問題だけ続けて採点すれば、採点基準のゆらぎも抑えやすい。

同一問題解答を比べる
同社システムのように、一つの問題だけの解答を数人分並べて採点ができればと思うことは、採点経験者なら必ずあるだろう。ところが、解答用紙での採点では、数枚並べるためのスペースも必要であるし、一人の採点者しか関わることができない。

部分点も自動計算
当然、入力された点数は自動的に計算されるため、電卓片手に読みにくい場合もある部分点の数字を合計し、さらに他の採点者がそれをチェックするといった手間も省ける。期末試験、模試、入試など、採点枚数が多く、採点に速さと正確さが求められる場合、便利なだけではなく、成績開示を求められたときにも安心なシステムと言えるだろう。実際に採用した学校や塾の先生方による使用感や特長が語られている、同社 “デジタル採点システム採用事例紹介” パンフレット(同社ウェブサイトでも一部公開)は、採点業務について改めて考えさせてくれる。

【企業サイト】デジタル採点システム「YouMark」


3. プログラミングの知育教材 “Bee-Bot” (Terrapin Japan)

プログラミング教育の前に必要な「考え方」を教える
小学校に導入されるというプログラミング教育関係のブースは多かったが、理科の実験を思わせるような器具や配線、タブレットにPCなどが並ぶ中で、非常にシンプルだったのが、全教科対応型プログラミング教材という “Bee-Bot” を紹介するTerrapin Japanである。児童に必要なプログラミング教育とは何か?「論理的にものごとを考える」、“Bee-Bot” を使って、「そのことを実際に体感」させる、「プログラミングとは、コンピュータにこう動いてほしいと自分の意志を伝えること」と、この教材は定義する。

何を使って何をする?
写真のように、マス目のあるマットを使って、前進・後退・右回転・左回転・停止・GOでロボットを動かす。40ステップまでの連続プログラミングが可能で、クリアボタンを押すと消える。どこに行かせるか、どのようなルートを通るかを、自分で考え決めて、一つ一つのステップを書きだす。そしてロボットのボタンを押して実行させ、自分の決めた通りに動くかどうかを確認、間違っていればやり直す。

プログラミング教育に入る前に
「プログラミングは自分の意志で何かをすること」であり、このロボットはプログラミング学習に入る前の「概念」を教えることを目的にしていて、ドリルもある。この一対一で論理を考えていくことは、実験レポートや説明文など論理性が必要な文章の基礎ともなる要素も含んでいる。シンプルだからこそ、現場で使い方に色々なアイデアが浮かぶロボットではないだろうか。

【企業サイト】プログラミングの知育教材 Bee-Bot


4. “体つくり運動” アプリ(株式会社からだラボ開発、有限会社ヘッドルーム販売)

体つくり運動をアプリで学習
このアプリは、新学習指導要領の「学校体育実技指導資料 第7集 体つくり運動」の学習指導のために開発された。対象は、小学校高学年から中高生である。これまでの様々な児童・生徒の体力や運動能力のデータに基づいて、体育教育の専門家や経験を持つ教師などが、開発に携わっている。

各自に合う運動指導・計画を
児童・生徒の体力低下が問題となり、単独単元としての学習になっている「体つくり運動」だが、現場では「何をどのように教えるのか」「生徒それぞれに応じた教育ができるのか」といった戸惑いがあるという。このアプリをタブレットで使用することで、何を教えるか、どのように実施するかが分かり、個人個人に合わせた運動計画を作ることが可能になる。

自分のレベルで始める運動
アプリ導入校では、生徒自身が自分にあった運動を見つけられる、映像で運動のやり方が分かりやすい、ゲームみたいにできるという学習する側の意見、各自の運動計画作成ができる、パソコンで生徒のデータを管理できるなど教える側の意見、どちらも好評という。300本近い動画で、誰もが自分のレベルで始められる運動を紹介しているため、運動の上手や下手を問わず採り入れることができる。

今後の可能性
スポーツトレーニングの動画というと、上手なお手本を見せることが多いが、このアプリの動画は誰でも一緒にできる感がある。小中高だけではなく、高齢者にとっても、運動の内容を考えればこのようなアプリは有効であろう。子どもの体力低下も高齢化も日本だけの問題ではなく、英語版や中国語版の要望もあるという。

【企業サイト】体つくり運動アプリ


5. 小型インタラクティブ地球儀 “SPHERE(スフィア)”(製造:Sphere株式会社、販売:国際航業株式会社)

地球は球体で回転する
“SPHERE(スフィア)” は、宇宙から見た現在の地球を見ることができる。博物館などで使われてきた、デジタル地球儀 “触れる地球” の機能を進化させ小型化した製品である。地球儀の表面には、雲の動き、昼と夜の境界、気圧配置、海水の温度変動などを、リアルタイムに美しく映し出すことができる。

地球の問題を地球全体としてとらえる
気象変動、地球温暖化、人口増加など、過去のデータから未来のシミュレーションまで可能であり、日本の状態と他国や他地域の状態の違いが、地球儀を回せば理解できる。100以上の地球環境関連データがプリインストールされているという。シミュレーションによって、地球温暖化について、“SPHERE” の表面が変わっていく様子を観察すると、地球全体の問題として感じることができる。

タブレットPCで情報を見る
何を表示させるか、どの地域や時代を見るかなど、タブレットPCからコントロールするが、音声認識機能によってボイスコントロールにも対応している。過去から現在までの変化を、“SPHERE” 上で一瞬のうちに見ていると、数字として示されたデータの意味が迫ってくるようだ。コンテンツも充実しており今後の更新も予定されているという、この地球儀は、地理や歴史といった科目での利用はもちろんだが、児童や生徒の自律学習を促進するための新しい「参考文献」となるだろう。授業プランや課題が浮かんでくる製品だ。

【企業サイト】小型インタラクティブ地球儀 SPHERE(スフィア)


6. 「姿勢教育」×「防災教育」 “p!nto SCHOOL”(株式会社ピーエーエス)

授業中の姿勢を改善したい
小学校では、姿勢の悪い子どもが増えてきていると言われている。しかし、小学校の椅子は、成長期の子どもたちにとって座りやすく姿勢を保ちやすいものであろうか? “p!nto SCHOOL(ピントスクール)” は、災害時はには防災頭巾にもなる、座面部と背面部があるセパレート方式のクッションだ。クッションとしては、快適な座り心地と同時に良い姿勢を保持しやすくなるという性質を持つ。防災頭巾としては、椅子からはずして簡単にかぶることができて、(公財)日本防災協会認定品である。

機能を持つクッション
作業療法士としてオーダーメイドクッションの制作にあたってきた同社のシーティングデザイナーが、大阪府箕面市の協力を得て、この製品を開発した。クッションは、人の身体を知り筋肉や関節の動きなどを考えてデザインされ、それを製品化する技術に支えられて、制作されている。クッションとしては、低学年から高学年までに対応し、教室掃除のときに椅子からはずれない、洗濯できる、また防災頭巾としては装着しやすいなどの条件を満たす製品を作り上げた。実際に触ってみると、背筋を伸ばしやすい支え感や座面の安定感があり、何か落下してきても頭を守ってくれる安心感を与える丈夫さもある。

そばにあるからこそ防災にも役立つ
同社では、椅子に装着して授業を受ける状態とない状態とを、小学校において行動観察を行った。その結果、先生からも児童からも、授業中の姿勢が良くなったという具体的な結果を得ている。姿勢が良くなることで授業への集中度が改善されることは、児童自身が実感している。防災訓練もクッションを利用して行っている。

【企業サイト】p!nto SCHOOL

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