ロシア式算数・数学教育 “RSM” とは?

Qure記事【アメリカ】学校外での算数学習が必要(2019.1.28)は、Pioneer Instituteが発表したアメリカの算数教育についてのレポートについて掲載。同レポートから、日本ではあまり知られていない旧ソ連の算数・数学教育を基にしている “Russian School of Mathematics”(RSM:アメリカ各地でK-12向けに展開)について具体的に紹介する。

特集
RSM

ロシア式算数・数学教育(RSM)とは?

RSMの概要・教師陣
“Russian School of Mathematics”(RSM)は、アメリカやカナダで普及している、児童を対象とする学校外での算数・数学学習法である。旧ソ連の教育を基にしたパズル形式での学習により、子どもの抽象的思考、論理的思考を育てる。RSMでは、子どもたちは、学年毎に異なる長さの授業を週1回、教室で受講する。スクールでは、化学、気象学、工学等、数学に関連のある分野で活躍する人材が、パートタイムで講師を担当するのが一般的だ。講師のバックグラウンドは様々だが、どこのスクールでも、統一的なカリキュラムにより、一定の質の授業が受けられるようになっている。また、教材担当のチームを置き、教育用動画の開発、授業計画の作成などを通じて教師をサポートしている。講師は、教育方法に関する動画を視聴したり、ビデオカンファレンスに出席し、自身の教授法の改善に取り組んでいる。

RSMの普及
RSMは1997年、アメリカで、旧ソ連出身の一人の女性によって開始された。当時、女性の息子がアメリカで受けた算数教育は、旧ソ連の手法とは大きく異なるもので、このことがRSMの取り組みを始めるきっかけになったという。女性は仲間とともに、旧ソ連の教育法をアメリカのスクール向けに再構築し、20年経った今では、アメリカ、カナダで約25000人の生徒がRSMを利用している。RSMは高所得層を中心に普及しているが、小学校教育では、比較的安価に展開されている例もある。


RSMでは何を学ぶ?

RSMの目標
RSMでは、反復して計算に取り組む公文(Kumon)式に見られる記憶型の学習とは対照的に、クリティカルシンキングと論理的思考を育て、問題解決能力を養う。早期に論理的思考能力を養うことで、学年が上がっても、学業成績を維持することができるとされている。RSMでは、これまで退屈で難しかった算数の授業を、パズルを用いて面白く提供することができる。計算技能の養成ももちろん行うが、主として、抽象概念の理解を優先した教育が実施される。

RSMの学習効果
RSM利用者の(K-12)第11学年における大学進学適性試験(SAT)のスコアは、平均で(800点中)774点とのデータがある。小学校や中学校におけるRSM学習は、SAT I、SAT IIの試験対策として十分に有用であり、また、高校におけるRSMのカリキュラムは、SATや大学で求められる数学的基礎能力の養成に焦点を当てている。RSMの学習者は、いずれも著名な数学コンペである “Harvard-MIT Mathematics Tournament” や “Math Kangaroo” においても、優秀な成績を収めている。


RSMの実例紹介

授業の進め方
RSMの授業は、アメリカで一般的に行われているのとは異なる、独特の方式で進められる。授業において生徒は、出題された問題の解き方について黒板に書き込みながら、残りの生徒に向かって自身の考えを発表する。そして、その考えに対する反対意見や改善案もまた、黒板に書き込まれる。こうした意見や提案は、教師ではなく、生徒により行われ、自由な議論が展開される。

問題例(小学校レベル)

    1)キリンがハイキングに出かけました。1日目に29マイル、次の日に38マイル歩きました。全部で何マイル歩いたでしょう? また、1日目にXマイル、次の日にYマイル歩いた場合には、全部で何マイル歩いたでしょう?
    私はある数字を思い浮かべています。私の友人もまた、ある数字を思い浮かべています。私が思い浮かべている数字の3分の1は、友人が思い浮かべている数字の2分の1に等しいです。私と友人が思い浮かべている数字として考えられるものをそれぞれ挙げてください。また、私と友人が思い浮かべている数字が同じになることはありますか?

    2)2010-2009+2008-2007+…+2-1)÷(2010×45+55×2010)を計算してください。

問題例(中学校レベル)

    1)コップ一杯にブラックコーヒーが入っています。ピノキオは半分になるまでそのコーヒーを飲みました。次にコップが一杯になるまでミルクを加え、出来上がったミルクコーヒーの3分の1を飲みました。次に、再びコップが一杯になるまでミルクを加え、出来上がったミルクコーヒーの6分の1を飲みました。最後に、再びコップが一杯になるまでミルクを加え、出来上がったミルクコーヒーを飲み干しました。ピノキオはコーヒー、ミルクのどちらを多く飲んだでしょうか?

    2)5101+599が13の倍数となることを証明してください。


【スクールサイト】Russian School of Mathematics

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