キーワードを追う-連載特集 eラーニング No.2

Qureに掲載している教育関係ニュースの中から、「今、考えるべきキーワード」をとりあげていく連載特集(不定期更新)。

特集

研修コンテンツの構成・長さ


RAINMAKING

企業研修や専門知識、専門職などの研修として、eラーニングやオンラインコースの開始や改善などについての、アメリカのニュースやプレスリリースが毎週のように入ってくる。対象の業界、職種、資格などが非常に明確なeラーニングが増えている。1回の受講に要する時間の長さ(短さ)を特色とするプログラムやコースが多いことも目立つ。このような傾向がコンテンツにもたらす影響をまとめていく。

1)受講対象の明確化とコンテンツの長さ

PCだけではなく、タブレットやスマホなどモバイル端末で手軽に受講できるコースが増えている。その理由は、受講対象が「忙しい」「時間がない」ためである。
アメリカの国際的なコーチング企業20/20 Leadership Groupは、オンラインビジネス研修プログラムRainmaking Academyを開始した。同プログラムは弁護士や会計士、ファイナンシャルアドバイザーといった専門性の高い資格を持ち働き始めた人々が、仕事での成功を目指し、重要なスキルを習得していくことができるプログラム。忙しい中でも自分のスケジュールを考えて受講しやすいようにと、各受講回は、ワークシートなど教材と共に3~7分のビデオレッスンで提供されている。受講者がどのような状況にいるかを熟知し、学びやすさの提供手段として短さを選んでいる。
2017.2.16【カナダ】LMSを越える企業研修eラーニングのためのプラットフォームも、同じ考え方に立ち、忙しい業務の中でも毎日取り組める3~5分のコンテンツを提供する。

GROW

同じくアメリカのGROW Learning Management Systemは、集合住宅関連産業のスタッフに特化した研修プラットフォームで、公正な住宅販売、ハラスメント、リスクマネジメント、リース、補修などについて、専門的な知識を供給する。GROW Learningは、100以上の短いeラーニングコース(一口サイズ、マイクロサイズと呼んでいる)を集合住宅産業における研修のために提供する。すでに100以上のコースがあり、さらに今後も毎年、新しいコースの追加を予定している。
同社は、受講者の中心となる1980年代から1990年代に生まれたミレニアル世代の集中力に配慮している。2025年までには、この世代が労働人口の75%を占めるようになると予測され、その集中力は90秒とされている。分かりやすいビデオとアニメーションを使ったコンテンツはすべて10分ほどに設定され、各種端末に対応、いつでもどこでも学ぶことができる。

2)短いコンテンツを作るためには内容を分割する

受講時間が短くテーマが絞られていることは、時間的な便利さだけにつながるわけではない。どのテーマから学ぶか、どのような順序で学ぶか、どれを省くかといった個々の受講者のニーズに柔軟に応えることにもなる。
コンテンツを短くするためには、テーマを絞り何を学ぶか一目でわかるタイトル付けや分類が必要である。各社ともに受講対象が明確であり、分類やタイトルも受講するコンテンツを選びやすいように工夫している。
コンテンツ内容を広く提供するeラーニングでも、短いコンテンツにおいては、分類やタイトルで探しやすくなっている。これまでにQureで紹介したアメリカの事例を見ると、現場へ入る前に見て確認する、必要があるときにその場で見て理解するといった場合を考えている内容が多い。

2016.12.30【シリーズ】アメリカ・日本 増え続ける日米eラーニングコースで紹介したアメリカのMasteryTCN™社には、20分以下のコースも少なくない。「eメール:全員に返信」は受講時間4~7分、「どのように言えばいいか:仕事で助けが必要なとき」は4~9分、「足場:足場の基本点検」は10~18分などがある。仕事の前や仕事中、確認したいと思ったときにその場ですぐに受講できる長さである。
2017.2.1【アメリカ】企業研修eラーニングは企業ニーズに合わせてカスタマイズでも、業務にすぐ戻ることを配慮して、1回15分ほどに長さを設定している。
2017.3.22【アメリカ】デジタルラボでバイトサイズのコミュニケーション研修では、実際に「話す」ことを行うコミュニケーションのオンライントレーニングにおいても、内容を7つのバイトサイズモジュールに分けて提供する。

短ければ受講率が上がるわけではなく、各社ともにビデオやアニメなど見やすさの工夫や、クイズやテストでの内容確認にも力を入れている。コンテンツの素材や構成によって、本当に必要なことをわかりやすく素早く、自分で学ぶ順序を考えて、受講できるように提供することが必要だ。そのためには何よりも、1回の受講で何を伝えるか、テーマを明確にすることが前提となっている。

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8.教材コンテンツ作成は怖くない!カンタン作成術

13.映像以上の効果を高める!映像+資料の連動

14.人間の集中力は2分が限界?コンテンツの長さを科学する

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