【編集の眼】eポートフォリオ-情報の蓄積からラーニング・アナリティクスへ

eポートフォリオは、学習者が何をどのように学び、どのような問題を抱え、どのような結果を出しているかなど学習行動を分析し、学習者にとってよりよい学習環境を提供できるかを目指していく。

編集の眼

eポートフォリオは学習者が何をどのように学びどのような問題を抱えどのような結果を出しているか、必要かなど、学習者を理解・把握しその学習行動を分析し、学習者にとってよりよい学習環境を提供できるかを目指していく。ネット環境ではPCやタブレット、カメラなどを用いれば、一つのページを理解するのにかかる時間、項目による興味の度合い、調べ方の問題点などまで細かく学習行動を記録できる。

Qureでもこのような学習履歴や行動のデータ収集と分析についてニュースをとりあげてきている。

2016.7.11  【日本】学習専用プラットフォームに学習履歴の国際標準を実装
2016.2.22  【アメリカ】教育現場でクラウドを有効活用
2015.5.15  【アイルランド】アメリカでのLMS市場動向レポート
2015.10.26【アメリカ】最高ランクの学習管理システム
2013.4.12  【アメリカ】生徒の学力、出席、テスト管理可能なIT教育学習支援サービス

学習者の学習行動記録、提出されたレポート、試験の成績、最終評価などを総合的にどのように分析するか、ラーニング・アナリティクスの研究が進んでいる。教育機関や情報関係の学会にもラーニング・アナリティクスセンターや部門が設置され、昨年5月には学習分析学会も発足した。

また、今年5月25日(水)から3日間開催された国立情報科学研究所 “学術情報基盤オープンフォーラム2016”のテーマの一つがラーニング・アナリティクスであった。同フォーラムのラーニング・アナリティクストラックには講演資料がアップロードされている。

eポートフォリオへの第一歩はデータの蓄積である。大量のデータを蓄積しそれを検索・分析する手法や技術も整ってきた。まず学生を中心としたデータを集め記録し蓄積することから始めてはどうだろうか。学生の提出物や試験、面談記録などがすべて蓄積され、キーワードで検索できるだけでも、紙ファイリングとは大きな違いである。

例をあげよう。
ある教育機関で一専攻だけ資格試験合格率が他の専攻よりも低く、全国平均さえも下回った。資格試験ごとに記録されているエクセルシートを見ると、過去において他専攻でもその講師の合格率が低いことが分かった。その学生たちは他の検定試験では、他専攻や全国平均を上回る合格率をあげている。学生アンケート記録シートでは、その講師の検定対策授業は、授業内容、授業の進度、課題の量、理解度などすべてが高評価である。数値データと別ファイル保存の学生コメントでも満足度の高さが示されていた。

原因を調べるため、学生面談記録や就職決定後の報告シートなど紙媒体資料を地道にあたると、「〇〇検定は自分で授業外に勉強した」「友だち3人でグループ学習して受かってよかった」という合格学生コメントが見つかった。学生に聞くと「いい先生だし一生懸命だけど」丁寧すぎて進度が遅く過去問題をこなしきっていないという。講師が学期開始前に提出したシラバス、学期修了後に提出した講義進行記録を他の講師と比べると確かにそれが裏付けられた。これも学期ごと専攻ごとに紙ファイリングであり比較しづらく、前述のエクセルシートも保存場所がバラバラで原因が分かるまでに時間も手間もかかった。すべて電子化されていれば、検定名と講師名で検索も容易、さらに講義進行記録がリアルタイムで入っていれば学期内修正も可能であっただろう。

学校では、日々の授業における復習テストやドリルの点数、中間試験や期末試験の点数、統一試験や資格試験など学校を越えて同じ問題で行われる試験の点数など様々な数値データが集まる。一方では授業に対する参加度や予復習など家庭学習の様子、個人での学習状態、グループでの学習態度など担任、各授業担当などからテキストデータも入ってくる。児童から学生まで教えられる側が、学期ごとに授業内容や講師の教え方、自分の学習状態などについて授業アンケートに記入する。

高校や専門学校、大学などではこれに就職適性検査や一般常識試験、面接評価など就職対策関係のデータもある。ラーニング・アナリティクスに何よりも必要なことは、このようなデータを取捨選択する前に一元化することではないか。

今後、eポートフォリオは教育の質に大きく関わり重要性が増していくだろう。

【参考サイト】eラーニングガイド

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